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スピード強化とそのあり方

Updated: Oct 26, 2018


走るスピードが速ければ、大抵のスポーツ競技で有利に立つ事ができます。

しかし、スピード強化と聞いてすぐにラダー(ハシゴ系の道具)を連想するトレーナー、コーチ、アスリートは恐らくスピード強化に必要な要素を理解していないでしょう。


流行のスピード・トレーニングでは速くはなれない!!

20年間、様々なトレーニングスタイルを見て、挑戦してきましたが多くのスポーツでコーチやトレーナーがスピード・トレーニングを理解していないなと思う場面を多く見ます。可愛そうなのはアスリートです。コーチやトレーナーの指示には従わなくてはならないので、方法が何であれそれに従うしかありません。なので、アスリート本人もそうですが、コーチやトレーナーもちゃんと学んでもらいたいものです。


スピードを強化する利点

まずはスピードの意味から始めましょう。スピードは単純に自分の体をいかに速く動かせるかという事です。サッカーでは速いタイミングでボールを受けたり、いち早くオープンスペースに走り込めたりします。テニスだったら、左右に動くラリーから一気にネットにつめる事も可能です。野球だったら守備でボールの落下点に早く入れ、走塁でも有利に活用できます。


流行のスピード強化の問題点

トレーナーになりたての頃はラダー、コーン、BOSUなどを使ったトレーニングなどで「スピード強化トレーニングだ!」なんて粋がっていた時期もありましたが、しばらくして結果が伸びない事に気付き、ほとんど使わなくなりました。今考えると恥ずかしい話です。

コンセプトを変えなくてはいけなくなった理由は2つあります。一つはラダーとコーンではトレーニングによる強化に上限があり、より速く走りたい、動きたいと思っても限界が出てきます。二つ目は走り方は技術ですがスピードは違うという事を理解したため、前のトレーニング・コンセプトでは今以上に速く走る、動くのは無理と判断したからです。


作用反作用の法則

スピードはニュートンの法則で作用反作用の働きがあります。頑張って根性のみでスピードを強化するのは無理です。作用反作用の法則を理解した上でのプログラミングが必要です。作用反作用の法則は走るスピードで例えるなら地面を蹴ったときの衝撃が反発し体を前に進める力になります。


ラダーやコーンでもある程度は蹴りの衝撃を高められるのですが、それだけではスピードを強化できない理由がここにあります。サッカーやテニスで見られる切り返しやスプリットステップも同じ事です。地面を蹴る力が弱ければ反発も弱いので相手に付いて来られたり、ボールに追いつけなかったりします。逆に、地面を蹴る力を強化できるのであれば、スピードも強化できるという事になります。


スピードに必要な要素

スピード強化に必要な要素は幾つかあります。一つは体幹の強化です。「体幹」は腹筋と思われがちですが正確には脊髄と骨盤を固定する筋肉です。もちろん、腹筋もその中に含まれますがそれ以外にも広背筋、脊柱起立筋、僧帽筋、殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングなどです。結構な筋肉の数ですよね。更には姿勢を正し走る為には大胸筋や三角筋も強化し腕の振りで体の軸がぶれないようにしなくてはなりません。そしてもちろん、下半身の筋肉強化です。当然ですが下半身も速く、強く働けないとスピードは生まれません。

また、ただ筋肉を付けるだけではなく、関節の動きも去ることながら神経系のトレーニングもしなくてはいけません。

こうやってスピード強化の要素を分解していくとただ足を早く細かく動かして走っているだけではスピード強化には繋がらないと理解して頂けたのではないでしょうか。

では、どうトレーニングするのが効果的なのか紹介していきましょう。


コントラスト・トレーニング

コントラスト・トレーニングはベーシック・エクササイズとプライオメトリックスのコンボです。ベーシック・エクササイズはベンチプレス、オーバーヘッドプレス、スクワット、デッドリフトなどです。プライオメトリックスは、10mスプリント、ボックスジャンプ、ソリ押し、垂直飛びなどです。サッカー選手に与えているスピード強化のトレーニング・プログラム例は以下のような感じです。

  • A1.  スクワット 5回 10秒休む

  • A2.  ソリ押しスプリント(60kg位) 10m 10秒休む

  • A3.  10m スプリント 3-5分休み合計4-5セット行う

A1のスクワットは持ち上げられる最大重量(1RM)の80%くらいが目安です。この重量で行う事でA2のソリ押しスプリントが軽く感じ普段よりも速く走る事ができます。ソリ押しは2つの目的があります。上体を前に45度傾けた状態を体幹で維持する事。もう一つは、スプリントなので地面に足を蹴り込む練習です。できるだけ速く10mを駆け抜けましょう。そして、A3は実際のスプリントです。A2よりも軽量になる為、普段よりも速く走れるはずです。ここでも、目標は上体を前45度で維持してできるだけ速く10mを駆け抜ける事です。



A1, A2, A3間の10秒休憩は呼吸を休めるものであり、肉体の回復のためではありません。ここであまり休ませすぎると重量を持ち上げていた効果が薄れるので、できる限り10秒で行いましょう。万が一、10秒で呼吸が回復できない場合は負荷を減らします。

このトレーニング目的はスピードであり、筋量をつけるためではありません。なので、3-5分の休憩は長く感じるかもしれませんが、トレーニング中にスピードが落ちるのは問題なので必ず休みをとりましょう。


コントラスト・トレーニングはそれ自体が肉体強化プログラムなので他の筋トレをする必要がありません。ですが、他のトレーニングプランと同じように自分の目的、スポーツ、プレースタイルにあった内容で強化プランを行いましょう。トレーニング頻度は週に4日が目安です。必ず回復させる日も作りましょう。


スポーツ専門トレーニング

スポーツに応じてそのスポーツならではの動きがあります。これも、コントラスト・トレーニングにプラオメトリックスの変わりに使う事も可能です。例えば、サッカーのドリブルですがですが、スクワットの後に10mのドリブルスプリントを入れるのもいいでしょう。テニスの左右のスピードを上げるなら重量でのランジ交互に3-5回ずつ行い10秒後に左右のみのラリーを行っても効果はあると思います。ラリーの際は打つ回数をあらかじめ決めておき長時間かけないように心がけてください。


スピード強化

スピード強化の基本はどれだけ速く自分の体を動かせるかです。その為には体幹を安定させいかに地面を強く蹴るか、又は腕を速く動かせるかに掛かってきます。その為には負荷を掛け筋肉を刺激した後にスピード用のエクササイズを行う必要があります。負荷はバーベル、ダンベル、バンド、ケトルベル、バンドなど様々なオプションがあります。スピード用のエクササイズは自分が知る限りでは90以上あり、更にスポーツ専門動作となればもっとあるでしょう。アスリートの必要としている部分を強化しスピードを強化していきましょう。


マスターコウタ

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